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パワーハラスメント防止措置について

更新日:2022年2月4日

特定社会保険労務士の福岡でございます。中小事業主の職場におけるパワーハラスメント防止措置がいよいよ義務となります。職場におけるパワーハラスメント対策については、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(改正労働施策総合推進法)が既に令和2年6月1日から施行されており、中小企業は令和4年4月1日から法の措置が義務付けられることとなっています。


ここで、パワハラとは法律ではどのように定義されているか改めて整理します。

(同法第三十条の二 第一項)事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。と定められています。優越的な関係を背景とした言動、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものとありますが、優越的な関係とは「上司と部下」や、「ベテランの従業員と未経験の従業員」といった関係を指しますでしょうか。また業務上必要なことであれば適切な指導になるでしょうが、相当な範囲を超え、労働者の就業環境が害されることになれば、パワハラに該当するという内容が条文から読み取れます。


具体的にどのような措置を行うべきか、以下抜粋します。

◆事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

①職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確

化し、労働者に周知・啓発すること

②行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に

規定し、労働者に周知・啓発すること


◆相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

③相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること

④相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること


◆職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

➄ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること

⑥速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと(注1)

⑦事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと(注1)

⑧再発防止に向けた措置を講ずること(注2)

注1事実確認ができた場合

注2事実確認ができなかった場合も同様


◆そのほか併せて講ずべき措置

⑨相談者・行為者等のプライバシー(注3)を保護するために必要な措置を講じ、

その旨労働者に周知すること

注3性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報も含む。

⑩相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、

労働者に周知・啓発すること


ただし、いきなりどのようにとり行うべきか、東京労働局では、事業主の方に、法の遵守のため、現時点における取組状況を『自主点検票』(東京労働局作成)により点検していただくようお願いしています。是非ご覧ください。




セクハラ、モラハラ、マタハラ、、、、と多くのハラスメントを聞き、可能性とすれば新型コロナウィルスワクチンの接種・未接種(?)に対しても生じるかもしれません。ハラスメントとは嫌がらせ、イジメを意味します。令和2年度に寄せられた民事上の個別労働紛争相談28,300件のうち、約3割に当たる9,072件を「いじめ・嫌がらせ」を占めています。人が多く集まれば集まるほど、多くの考えがあり、気の合う、合わないももちろんあることと思います。外国人を含めて考えれば文化の違いも当然にあり、宗教上の違いも勿論です。十人十色という言葉がありますが、一人一人に得意・不得意があり、働き方や考え方も様々なことと思います。言い方を換えれば、それは一人一人の個性であると私は思っています。いじめや嫌がらせが起きる根本の原因は何か、職場としてできる取組みや風土づくりに必要なものは何か、日々の一つ一つの積み重ねと思います。人との接触がなかなかしにくいコロナ禍において、コミュニケーションをどのように取っていくか、人事労務の専門家である社会保険労務士にご相談いただければと思います。



(参考 厚生労働省東京都労働局、労働新聞)


特定社会保険労務士 福岡 秀行


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